お好きなものを、
お好きなだけ。
2022年6月30日、執事の館・準備委員会は「名古屋の仮住まい」を幻にいたしました。(解体いたしました。)
お嬢様、旦那様、申し訳ございません。「名古屋の仮住まい」は、2022年6月に幻にいたしました。いま、執事の館・準備委員会は、予てからの夢であった「名古屋の本宅」を実現しようとしております。何卒、ご理解のほどをよろしくお願いいたします。
お帰りをお待ちしております。
「名古屋の仮住まい」とは、いわゆる飲食店に分類される業態をもって、世のすべてのお嬢様、旦那様に使用人がお仕えをする「ご自宅」とお考えくださいませ。ご自身のお家ですから、決して豪華ではございませんけれども前庭があり、玄関に続くクローク、そして幾つかのお部屋と、厨房や給湯室が備えてございます。
ここにご帰宅(ご来店)をいただくお嬢様、旦那様を、まいにち十数名の使用人がお待ちしております。ばぁやとして親しまれる介添係、聡明な若手の家事係、執事としてお仕えする壮年の給仕係。この三役に加えて、運転係がお出かけ先への道案内を承ります。
ご滞在中のお食事は、有り体に申し上げるなら「飲み放題・食べ放題」でしょうか。お気に召されたものを、お好きなだけお召し上がりいただければ幸いに存じます。おそらく、あらかじめお伝えしている給金の範囲で充分にご満足をいただけるのではないかと考える次第です。
なお、ご帰宅をいただくにあたって、とくべつ準備をいただく必要はございません。ただし最低限のドレスコードにご理解をいただければ幸いです。(この件はご予告の際にご説明いたします。)またテーブルマナーについても同様に。正しい作法をなぞることよりも、目の前にあるお食事を目一杯にお楽しみいただきとうございます。
使用人について
介添係
ご帰宅をくださいましたお嬢様、旦那様をクロークでお迎えして、お上着や手荷物を預かるほか、テーブルクロスの洗濯、交換や、館内の清掃など、日々のお仕えに欠かせない庶務を担います。時折「白の部屋」で主の皆様とお話をさせて頂くこともございます。ばあやあっての「名古屋の仮住まい」でございます。
給仕係
玄関にてお嬢様、旦那様をお迎えしたのちに、クローク、白の部屋にご案内。当日のお飲み物やお食事のご紹介を致しますと、主の皆様から申し付けられたものを、テーブルに並べてまいります。ときには主の振る舞いや、食べ過ぎを嗜めることもございます。
家事係
ここ「名古屋の仮住まい」でも比較的若い年齢層の使用人。ドアマンとしてお嬢様、旦那様をお迎えすることもあれば、配膳室や給湯室に籠って盛り付けに専念することもございます。新たな品の試作、資材の発注も大切な役目にございます。
運転係
あらかじめドアマンにご所望をいただければ、「名古屋の仮住まい」からお出かけの際に濃赤色のレクサス LS460 を走らせます。出番のないときには、車両のお手入れや、給湯室のお手伝いに勤しみます。
お仕えのバリエーション
「名古屋の仮住まい」の基本は飲食サービス。2台のデザート・ワゴンが登場する「ティータイム」のほかに、「ブレイクタイム」や「ディナータイム」のお仕えがございます。それぞれの特徴とお給金について、ご説明差し上げます。
ティータイム
ここ「名古屋の仮住まい」の定番とも言えるデザート・ワゴンは、「ティータイム」だけのお披露目。常時15〜20品目ものお菓子や軽食が並ぶさまは壮観にございます。この中から、お好きなものをお好きなだけお召し上がりくださいませ。お飲み物も同様に、数十にも及ぶなかから、お好みのものを使用人にお申し付けいただければ、つど家事係がお作りいたします。土日祝日のお給金は 8,400 円(税込 9,240 円)、平日は7,800円(税込 8,580 円)。月曜日、火曜日、金曜日、土曜日、日曜日の「白の部屋」でお仕えいたします。
ブレイクタイム
気軽に帰宅をしてみたい、水曜日にしか都合がつかない、などのお声に応えるようにして始まりましたのが「ブレイクタイム」。介添係はお休みとなりますが、デザート・ワゴンではなくお皿を積むスタンドにお菓子や軽食を盛り付けるアフタヌーン・ティーの様式にございます。お給金は3,600円。水曜日の「白の部屋」でお仕えをさせていただきます。(2018.3.30現在はお休みをいただいております。)
ディナータイム
年に数回ほど、季節の催しとして「白の部屋」の晩餐は、フル・コースのラインナップにございます。ふだんは時間差でご帰宅をいただく流れにございますが、この日だけは一斉にお迎えをして、給仕に取り組む所存です。レースのカーテン越しに、お嬢様、旦那様が不思議な一体感を覚えながらお食事を楽しまれるようすが、過去の給仕報告書からも読み取れます。こちらは不定期に「白の部屋」で催しまして、お給金もつど異なります。過去の例では、8,800〜12,800円と幅がございます。
地元の産業に基づいて。
私たち執事の館・準備委員会は「名古屋の仮住まい」を実現するにあたって、先述の指針より愛知・岐阜・三重の東海3県にある名産品や工芸品を積極的に取り入れました。このことが地域経済や文化振興などの契機となれば、まことに幸いに存じます。
いっぽう、この方針に則ることは「名古屋の仮住まい」おける過剰な投資を防ぐ、副次的な効果がございます。家具や食器、車両など、今より良いものは確かに存在いたしますが、いずれ実現を迎える本宅の為に予算を残すことも決して忘れてはなりません。
愛知県岡崎市のテーブル
「白の部屋」に並べた6台のテーブルは、愛知県岡崎市に本社を構える株式会社オリバーさんの特注品。日本国内の飲食店、公共施設などで数多くの納入実績をもつ有名企業にございます。
愛知県名古屋市の壁紙
「名古屋の仮住まい」の館内に用いる壁紙、カーペットの多くは、名古屋市西区の株式会社サンゲツさんによるもの。お嬢様、旦那様の別宅やお勤め先にも用いられているかもしれません。
愛知県名古屋市の食器
「名古屋の仮住まい」でお使いいただく全ての食器とカトラリーは、愛知県に所縁のある株式会社ノリタケ、株式会社鳴海製陶、株式会社大倉陶苑の製品。金線が入っておりますことから、すべてを手洗いをいたしております。
愛知県尾張旭市の紅茶
意外に思われるかもしれませんが、愛知県尾張旭市は日本紅茶協会さんが認定する「美味しい紅茶が飲める店」が全国で最も多くございます。これに敬意を表しながら、紅茶係の正木(まさき)を通じてインド、スリランカ、ネパールや中国から最高級の茶葉を仕入れてございます。
愛知県小牧市の卵
名古屋コーチンの発祥は、名古屋市ではなく現在の愛知県小牧市の辺りにございます。「名古屋の仮住まい」は、お菓子や軽食の一部に名古屋コーチンの卵を用いて、豊かな膨らみと、旨味を生かしたお品づくりに励む次第です。
愛知県名古屋市の掛時計
かつて名古屋には、国産の機械時計を製造する会社がございました。その名も愛知時計電機株式会社さんと申しまして、現在はガスや水道にまつわる機械を作っていらっしゃいます。「名古屋の仮住まい」は創業115年を記念して作られた復刻版の振り子時計を置いてございます。
岐阜県高山市の家具
「名古屋の仮住まい」の「ティータイム」で活躍する2台のワゴンは、岐阜の山奥で伐採されたスギ材を用いて、職人が手作りで組み立てたもの。耐久性に優れ、この先数十年にわたって現役を務めることと存じます。
岐阜県土岐市の食器
常滑焼、瀬戸焼にならぶ美濃焼のお皿は、岐阜県土岐市の職人によるもの。「ティータイム」のデザート・ワゴンの盛り付けに用いて、お品選びに彩りを添える役目を果たしております。
愛知県一宮市のタキシード
「名古屋の仮住まい」でお嬢様、旦那様にお仕えする使用人は、愛知県一宮市のションヘル織機で編まれた生地のタキシード(介添係はスカート)を着用。それぞれの体型にあわせた特注の品にございます。
愛知県豊田市のクルマ
運転係が駆りますのは馬車…ではなく、トヨタ自動車株式会社のレクサス・ブランドの旗艦、 LS460 Version I でございます。車両の選定にあたっては、館内にある濃赤色に拘り、前期型の車体を購入。内装の傷や汚れは革修理の職人が手直しいたしました。
愛知県名古屋市の水道
名古屋市は西区、庄内川のそばで汲み上げられたお水は、上下水道局にて最低限の濾過、殺菌処理が施されております。「名古屋の仮住まい」は、さらにこれを米国ゼネラルエコロジー社の浄水器「シーガルフォー」を通して、美味しく安全なお水にしてございます。
愛知県名古屋市のガス
「名古屋の仮住まい」は、愛知県西部をカバーしている東邦ガス株式会社と契約。ガスコンロ、湯沸かし器の他、大型のデッキオーブンの熱源として都市ガスを積極的に採用しております。
愛知県名古屋市の電気
煌びやかなシャンデリア、夏場を快適にお過ごしいただくクーラー、食材を収める冷蔵庫など、「名古屋の仮住まい」のお仕えに電力を欠かすことはできません。中部電力株式会社との契約は、家庭用電源とシャッター、ダムウェーダの為の低圧電源の2系統がございます。
ご自宅ゆえに。
「名古屋の仮住まい」は、お嬢様、旦那様の自宅であり、飲食店ではないという前提から、幾つかの点で珍しい運用がございます。初めてご帰宅をなさる方に驚かれることも多くございますので、あらかじめお伝え申し上げとうございます。
メニューの用意がございません。
一般的な飲食店に必ず備えられているメニューは「名古屋の仮住まい」にございません。ここでお召し上がりいただくお菓子、軽食、お飲物などについては、お仕えをする使用人からご提案をさせていただきます。全ての品目をお覚えになるのは、ほぼ不可能かとは存じますが、つど使用人にお声がけをいただければ幸いに存じます。
それぞれの主に異なるお仕えを。
「名古屋の仮住まい」へのご帰宅を予告いただく際に、「ご帰宅前のご予定」、「お出かけ後のご予定」、そして「給仕に望まれること」を伺います。また「主の手帳」などに記載いただいた利き手やアレルギーの項目なども参照し、お嬢様、旦那様が快適にお過ごしいただけるよう努めてまいります。
お好きなものを、お好きなだけ。
「名古屋の仮住まい」は、お嬢様、旦那様のご自宅ですから、お約束の時間のあいだはお好きなものを、お好きなだけお召し上がりくださいませ。館内で使用人がお薦めいたします品の大半は、基本の給金の範囲内にございます。もしお腹に余裕がございましたら、何度でもお代わりをお申し付けくださいませ。
撮影・録音はご遠慮ください。
久しぶりのご帰宅、思い出として記録に残されたいお気持ちもたいへんよくわかります。しかしながら「名古屋の仮住まい」はお嬢様、旦那様のご自宅、あまり人目に晒すようなことはお控えくださいませ。撮影、録音のための機材は、クロークにいる介添係(ばあや)に預けて、ゆっくりとお寛ぎいただければ幸甚です。
自ら祝うことなかれ。
世の飲食店では、開業からの周年や、スタッフの誕生日に催しごとをされることがございます。私たち執事の館・準備委員会は、使用人の誕生日を祝うことを固く禁じ、それぞれの名簿にある生年月日の記載を省略させていただきます。また、周年の折にはお仕えを支えてくださっている業者さんを招き、日頃の感謝を伝えております。
飲食を伴わない日もございます。
年に数回ほど、「名古屋の仮住まい」では飲食を伴わないお仕えがございます。たとえばハロウィンには本式の「トリック・オア・トリート」を催し、ふだん立ち入りをご遠慮いただいているところにもご案内をいたしました。このようなお仕えをするときは、事前にお便りを差し上げる所存にございます。
館内でお給金をいただきません。
「名古屋の仮住まい」のご滞在のち、お出かけになる際にはお給金をいただきません。館内で支払いをするという無粋な行為を省略することによって、お嬢様、旦那様が1分でも1秒でも、お寛ぎいただければ幸いです。お支払いはご帰宅の当日、「銀行振込」「コンビニ決済」そして「カード決済」の三種類のなかからお選びいただきます。
支払わないという選択もございます。
私たち執事の館・準備委員会は、お嬢様、旦那様に喜ばれることが使命。もし「名古屋の仮住まい」のお仕えに納得がいかない場合は、お給金の支払いを拒否するという選択もございます。場合によっては、使用人の技量が向上するまでのあいだ、お時間をいただくこともございますので、何卒ご了承くださいませ。
館内の環境
「名古屋の仮住まい」はお嬢様、旦那様をお迎えして、ささやかなお仕えを実現するために建設された隠れ家にございます。外観からはうかがい知ることのできない館内の環境について、できる限りお伝えをする所存です。(後述いたしますが「名古屋の仮住まい」はお嬢様、旦那様のご自宅という位置づけゆえに、館内の撮影はご遠慮いただいております。)
名古屋の仮住まい
場所 | 説明 |
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駐車場 | 運転係の堀越が、濃赤色のレクサス LS460 を停めてございます。「名古屋の仮住まい」は主の皆様にお寛ぎいただくための空間を優先いたしましたので、この1台分のスペースしかございません。 |
前庭 | 2つの大きなアーチを並べた前庭には、愛知県稲沢市の職人が手配をしたオリーブの樹がございます。七夕には短冊を、クリスマスにはイルミネーションを吊るすなどして、使用人とともにお嬢様、旦那様のお帰りをお待ちしております。 |
玄関 | 扉を開けてすぐの玄関には、海外の職人に特注をしたゴールドのシャンデリアを吊るしました。またアンティークの燭台の手前には、つねに生花のアレンジメントを用意しております。 |
クローク | お迎えの際は、ここで介添係がお嬢様、旦那様をお迎えして、お上着、お荷物をお預かりいたします。ご帰宅の直後、お出かけの直前には、念のために姿見(鏡)でお確かめくださいませ。 |
廊下 | 決して大きくはありませんが、濃赤色のカーペットを敷いた廊下には、国内の職人が拵えましたブラケットを備えております。 |
白の部屋 | 6卓、12名が着席いただける空間。私たち執事の館・準備委員会では、ここを客間として定義し、設計を行っております。天井にはシルバーのシャンデリア。空間全体を白で統一しながら、差し色として青を採用しております。 |
緑の部屋 | - |
赤の広間 | - |
黒の部屋 | - |
お化粧室(女性用) | 女性用のお化粧室は2つの個室をご用意いたしました。個室内、手洗い周辺には、幾つかのアメニティ・グッズを備えてございますので、ご入用でしたら遠慮なくお手に取りくださいませ。 |
お化粧室(多目的) | 「名古屋の仮住まい」は、現段階でバリア・フリーの設計にございます。車椅子のままご入室いただける多目的のお化粧室もご用意いたしました。万が一の際のお着替えなども、ここをご活用いただければ幸いに存じます。 |
お化粧室(男性用) | 男性用のお手洗いは、建物の一番奥に。やや窮屈な設計にはございますけれども、必要最低限の備えはあるかと存じます。ご用の際には、使用人にお気軽にお声がけをくださいませ。 |
配膳室 | 館内でお申し付けいただくお菓子やお料理を保管し、ご要望に応じてお皿に盛り付ける空間。ここに巨大な冷蔵庫や、カップ・セレクト用のコレクションを納めてございます。(通常はご覧いただくことができかねます。) |
給湯室 | 館内でお申し付けいただくお飲物を拵えるスペース。温かい紅茶やコーヒー、冷たいドリンクなども全て、ここからご提供差し上げます。なお洗い場には常時1名の使用人がたち、次々と下げられたお皿を洗っております。(通常はご覧いただくことができかねます。) |
階段室 | 「名古屋の仮住まい」2階につづく階段は、いまのところ仮設の状態にございます。足元にご注意をいただきながら、ゆっくりとお上がりくださいませ。(通常はご覧いただくことができかねます。) |
洗濯室 | 館内で使用される布巾やテーブルクロスなどを洗濯し、乾燥をおこなう空間です。国産の洗濯機を2台設置し、不足の無いように運用を行っております。(通常はご覧いただくことができかねます。) |
厨房 | お嬢様、旦那様にお召し上がりいただくお菓子や軽食を調理する空間です。大型の国産デッキオーブンのほか、冷蔵/冷凍のための設備を備えております。 |
その他
場所 | 説明 |
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テスト・キッチン | 名古屋の仮住まいに志願するシェフ、パティシエの技量を図るため、市内に設けられた試作用のキッチン。この鍵は調達係の守山(もりやま)が管理をしております。(通常はご覧いただくことができかねます。) |
スペア・キッチン | 別名「セカンド・キッチン」。2015年10月より「名古屋の仮住まい」の軽食をお作りしております。(通常はご覧いただくことができかねます。) |
ご参考までにお伝えいたします。
風営法の解釈について。
私たち執事の館・準備委員会は「名古屋の仮住まい」の開館前より、お役所や金融機関から風営法に抵触するおそれを指摘され続けてまいりました。風の噂によりますと、過去に国内のあるコンセプト・カフェが風営法によって営業停止処分を受け、その前例が「執事」や「メイド」などを掲げる業態の評価を下げているのだとか。今日、真剣にお給仕を志される方々までもが十把一絡げにされる現況はまことに残念に思います。
もしも、私たちの取り組みを予備知識のない方がご覧になったときに、如何わしいもののように誤解されることは覚悟した上での取り組みにございます。なお過去に、非公式ではございますけれども、執事の館・準備委員会は愛知県警察本部の公安課に赴きまして、「名古屋の仮住まい」が一般的な飲食店の扱いになることを確認済み。今後、視察や監査などの申し入れがあった場合にはすすんで協力をする考えであることをお伝え申し上げます。
所在地の公開について
繰り返し述べておりますように、お嬢様、旦那様の「名古屋の仮住まい」は、ご自宅という考え方ゆえに、法令に基づく公開の義務がない限り、所在地を公開しない方針にございます。これは「主の手帳」をお持ちになったお嬢様、旦那様にのみお伝えする情報としてご了承を頂ければ幸いに存じます。蛇足ながら、開館から一貫して所在地を伏せる姿勢に対して、30,000を超えるお嬢様、旦那様のご理解とご協力がありますことを付け加えて、心からの感謝をお伝えしとうございます。