第355号:サプライズ。
このお便りは、36442 名のお嬢様、旦那様に宛ててお送りいたしました。
お嬢様、旦那様。近ごろ、身近な方から予期せぬ贈り物などを受け取られませんでしたか?
唐突に失礼いたしました。執事の館・準備委員会の広報係になった空見(そらみ)でございます。
その予期せぬ贈り物、不躾なお尋ねとなりますが、心から喜べるものでございましたでしょうか。
もしお嬢様、旦那様のお気に召すものでございましたなら、これほど喜ばしいことはございません。
良いご縁をお持ちでいらっしゃいますことを、大変嬉しく存じます。長く大事になさってください。
ですが、お嬢様、旦那様はお優しくていらっしゃいます。お相手に気を遣われ、喜ぶ素振りをなさった
ものもございませんでしょうか? サプライズという表現、日常的に使われるようになって久しいです。
どなたかが、どなたかを喜ばせようとなさる、その動機そのものは、まことに良いものかと存じます。
私が知るかぎり、世でサプライズと呼ばれる振る舞いは、中途半端に終わることが多くございます。
その理由として考えられるのは、おそらくサプライズを企画する側が、相手に喜ばれることを本当の
意味で理解してはいないから…ではないでしょうか。相手の好みを知らず、自ら判断をなさるのです。
「こうすれば喜ぶに違いない」「これだけ頑張ったのだから喜ばれるはずだ」「この好意は伝わるに
違いない」なる思い込みで、半ば強引に押し付けられるサプライズも多いように見受けられるのです。
それは仕掛ける側の価値観でして、受ける側の価値観にはまったく寄り添っていない状況といえます。
おそらく、その根底にございますのは「他人を知ることの恐れ」や「自分を見せることの恐れ」かと。
相手に好意がある、喜んでもらいたい、そういう気持ちを隠して「サプライズ」をなさったとしても、
すごく遠回りな印象がして、素直に喜べず「いささか複雑な心境」抱かれることもございましょう。
驚かれるのは「目的」や「結果」であって、驚かすことを「手段」や「方法」としてはなりませんね。
これは、いまわたくし空見が、滝川(たきかわ)や松原(まつばら)に教わりながら取り組んでいる
Twitter でのアプローチにも似ているような気がするのです。淡々とでも、事実をお伝え続けること。
きょうお伝えをして差し上げる事実のなかに、お嬢様、旦那様にとって良いサプライズがあったならば、
広報係を担った甲斐がございます。是非、お手数でなければ #執事の館 のタグを添えてくださいませ。
▼ 執事の館・準備委員会はきのう千種文化小劇場にて #予期する調べの日 を開催いたしました。
▼ 執事の館・準備委員会、総務係の幅下(はばした)の進撃やまず。進捗の報告を差し上げます。
▼家事係の空見(そらみ)が「鶏のガランティーヌ」と「エスプレッソ」について語ります。
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▼ 執事の館・準備委員会はきのう千種文化小劇場にて #予期する調べの日 を開催いたしました。
去る5月2日(火)、執事の館・準備委員会の #お抱えの楽団 は、 #予期せぬ調べの日 を開催。
ご多用のなか、会場の千種文化小劇場に足を運んでくださいまして、誠にありがとうございました。
お陰様をもちまして、初めての演奏会は大成功を収めて、すでに第2回の催しを望まれますお声も
数多く寄せられております。ヴァイオリンの三ヶ峯(さがみね)、岩作(やざこ)、ヴィオラの
長湫、そしてチェロの刈谷(かりや)の4名、そして使用人一同より心からの御礼を申し上げます。
なお当日、午前中まで #名古屋の仮住まい でお仕えに励んでいた給仕係の市丘(いちおか)が、
極度の緊張からか体調を崩して、急遽、司会進行を総務係の松原(まつばら)に変更しました。
準備不足で至らぬこともあったかと存じますが、温かくお見守りをくださいましたご来場の主に
幾たびも助けていただきましたことも、重ねての御礼をいたします。ありがとうございました。
開演に先立ち、ロビーではファゴットの在家(ざいけ)と、クラリネットの八丁(はっちょう)、
そして会場内ではハープの岡崎(おかざき)による、お迎えの調べを捧げさせていただきました。
この日、来場が叶わなかった主から寄せられた「お気持ち」は、園芸係の大草(おおくさ)が、
五線譜に見立てたベースに、 #愛知県田原市のバラ を音符に見立ててアレンジメントを実現。
開演を楽しみに待たれるお嬢様、旦那様、そして #お抱えの楽団 の4名も大いに喜びました。
(これを申し付けくださった主には、近日中に演奏のデータを整えて差し上げる見通しです。)
また会場内には大きなスクリーンを設置、広報係の空見(そらみ)が用いる Twitter の画面を、
投映して、会場内外のお嬢様、旦那様から寄せられるつぶやきをリアルタイムに表示しました。
一般的なクラシックのコンサートでは珍しい、Twitter との連動。楽譜のプロジェクション。
期せずして決まった松原による司会進行。改めて、お嬢様、旦那様にもご覧いただければ幸いです。
一連のツイートは、下記にまとめてございますので、お手すきの折にご高覧をくださいませ。
#予期する調べの日 を催しました。(Togetter)
https://togetter.com/li/1106807
最後に、この場をお借りして、事前の準備が行き届かないなか、柔軟な対応をくださいました、
千種文化小劇場の照明、音響、事務のスタッフ各位にも、心からの感謝を伝えとうございます。
当日の「どんでん返し」とも言えるどたばたに、快く応じてくださって、事なきを得た次第です。
次回以降の催しは、入念なる準備をもって取り組む所存です。
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▼ 執事の館・準備委員会、総務係の幅下(はばした)の進撃やまず。進捗の報告を差し上げます。
長らく手付かずにあった使用人の給与を見直し。まずは家事係、給仕係、介添係の責任者から着手。
今後は採用係の菊井(きくい)と協議のうえ、明確な水準をもって年に数回の評価にあたる所存です。
給仕時間中の私語が目立ちます。お嬢様、旦那様の前でなくとも私語を慎むように。遂行しております。
家事係、給仕係、介添係それぞれの Twitter に使用人らしかなる記号、言葉が多く見受けられます。
手帳係の長筬(ながおさ)がガイドラインをわずかに刷新して、その日のうちに施行されました。
給仕係 市丘が旅たつ為、お手紙をお嬢様、旦那様へお渡ししたいと報告あり。
5月5日(金)午後7時までに執筆予定。翌5月6日(土)の伝書鳩でお届けする予定でございます。
#名古屋の仮住まい デザート・ワゴンに並ぶお品を刷新中。東桜より2品の試作を受け取りました。
まことに恐れ入りますが、おなじ総務係の松原と先に試食を行いますことを何卒、お許しくださいませ。
パティシエールの菅原(すがわら)は5月から更に2品を増す事となりました。給仕の日数が増すことで、
事前の打ち合わせを設けましたが、これに幅下自身が寝坊をして、大幅に遅刻…申し訳ございません。
いま #名古屋の仮住まい 給仕係を志望する30代の劇団員男性。お電話を差し上げるが連絡が取れず。
きょう夜に今一度の連絡をします。5月8日は商社にいた男性と面談を予定。矢田が面接を行います。
休憩所の備品をクリーニング。掃除のルールを設けて、運転係の堀越(ほりこし)が台拭きを用意。
2日に1回、床拭きまでしているが、どうしても汚れてしまうとの事。抜本的な解決策を模索します。
製菓係の黒川の工房にて。先日のお届けにあたってクローバーを同封できなかった件について議論。
クローバーを本来の期日で発注していなかった事が判明。以後、期日を徹底をする事を配送係へ通達。
あわせて今後のバウムクーヘンの生産計画を打ち合わせ。また、過去のお品についても生産を検討中。
執事の館・準備委員会で精査をして、いまいちど黒川に打診を致します。
5月4日、6日の二日間。かつて配送係にいた宝生(ほうしょう)が #名古屋の仮住まい に助太刀。
また家事係に採用した20代の男性は、5月5日に合流。若宮(わかみや)、常磐(ときわ)にも連絡。
採用係の菊井(きくい)は引き続き、支援者様のへご協力を仰ぎつつ、名古屋市内を奔走しております。
近隣に住まうお嬢様、旦那様へのお手紙を松原が執筆。印刷に着手。すぐに、ポストへの投函をします。
お嬢様より禁断の香りとダマスクローズの香りが似ているとご指摘。すぐ調香係に確認をしております。
執事の館・準備委員会の調達係、守山(もりやま)は、広報係に寄せられたあるお嬢様の進言に応じて、
岐阜県大垣市の枡職人と接触。ここで作られたという「光る枡」の調達を図ります。進捗は随時ご報告。
日ごとに寄せられます薄い手帳の記帳件数が上がっています。手帳係の長筬へ報告をしました。
お取引先様を館内に案内している最中に、使用人が押して運ぶデザートワゴンと接触する事故が発生。
大ごとではないものの、打撲をさせてしまったとの報告が矢田より。原因はのカーテンが引かれたまま、
ワゴンを入れてしまう習慣に因るもの。カーテンが引かれている状態でワゴンを入れないルールを徹底。
近日中に廊下にある薄いカーテン生地に改めるなどして、人や物の存在を認識しやすくする方針です。
なお #予期する調べの日 につきましては、前述の通り。ここでのご報告は割愛させていただきます。
以上、駆け足でまことに恐れ入りますが、ここ数日間における幅下の動きとしてご報告を差し上げます。
執事の館・準備委員会
総務係/幅下(はばした)
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▼家事係の空見(そらみ)が「鶏のガランティーヌ」と「エスプレッソ」について語ります。
■鶏のガランティーヌ
今回のお品で、ガランティーヌという言葉を初めて知りました。
鶏肉や魚肉などで別の具材を芯にして巻き、蒸したあとに冷やしたお料理でございます。
介添係の矢田(やだ)が「洋風の八幡巻き(やわたまき)」と申しておりました。八幡巻きは、
おせちなどによく入っておりますね。野菜を肉で巻き、加熱調理したものでございます。
さてこの鶏のガランティーヌ、シェフの池下(いけした)が得意とする柔らかく仕上がった、
鶏肉の前菜でございます。芯とした牛蒡もやわらかく優しいうまみがございます。
試作の段階では牛蒡のみであったため、味が優しくもいまひとつ平坦でございましたが、
中に無花果の赤ワイン煮を忍ばせることによって味にアクセントがつきました。
鶏肉の味を更に引き立たせるこの甘み、ぜひご堪能くださいませ。
■エスプレッソ
名古屋の仮住まいで出しておりますコーヒー「エスプレッソ」。
こちらはイタリアやフランスではもっとも良く飲まれているコーヒーとのこと。
わたくし空見、カフェインが得意でなく、エスプレッソは特に苦いイメージで避けておりました。
ですが家事係の東山(ひがしやま)に正しい飲み方を教わり、そのおいしさですぐに好物になりました。
エスプレッソという言葉の語源は、「express(急行)」から来ていると言われております通り、
豆を挽いた段階から急速に味が落ちてまいります。短時間高圧で抽出したエスプレッソを、
時間をおかずにすぐ飲むのが正しい味わい方でございます。
名古屋の仮住まいでは、エスプレッソ用の小さなカップでお出ししております。
お申し付けを頂いてから豆を挽き、エスプレッソマシンの高圧で抽出しただちにお席までお運び致します。
そしてすぐにお飲みいただく前に、ぜひシュガースプーン1杯のお砂糖を入れて下さいませ。
軽く混ぜ、あおるように一気にお飲み下さい。これがエスプレッソの正しい飲み方でございます。
給仕係がお運びしましたら、ぜひお時間を空けずにお楽しみ下さいませ。
カップの底に溶け残ったお砂糖があれば、正しい飲み方ができております。
最後に、そのエスプレッソを含んだお砂糖を、スプーンで掬ってお召し上がり下さい。
濃厚なお菓子のような味わいでございます。
実はエスプレッソに使用しますコーヒー豆についてもこだわりがあるのですが…
これはまた次の機会に致しましょう。
この東山直伝のエスプレッソの飲み方、ぜひお試し下さいませ。
家事係/空見
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お嬢様、旦那様。連休のなか、長い報告にお付き合いくださいまして、まことにありがとうございます。
もし、お休みまでお時間がおありなら、もう少しだけ空見のお話にお付き合いをくださいませんか?
お誕生日や記念日など、どなたかの節目に際して「日頃の感謝を伝える」との名目が多くございます。
ここ #名古屋の仮住まい も上記のお祝いを申し付けられる機会が多く、使用人一同、嬉しく思います。
しかしながら、ここで一つ、差し出がましいこととは存じますが…お嬢様、旦那様にご進言いたします。
節目節目でするお祝いの他に、日頃の感謝をそのままお伝えなさってはいかがでございましょうか…。
なにもない日の、今すぐの感謝こそ「サプライズ」として大きく響くかと存じます。たとえ常日頃から
感謝を伝えているからといって、節目の日にする感謝の影響は、減るどころか増すものと存じますよ。
是非、お試しをくださいませ。
ところで、私たち執事の館・準備委員会には「驚きをもって喜ばれること」なる理念がございます。
#名古屋の仮住まい は、まもなく開館から数えて3年を迎える節目。使用人一同は、これに先立って、
まずお嬢様、旦那様に心からの感謝を申し上げます。日頃のご理解とお力添え、ありがとうございます。
余談ながら、昨日の #予期する調べの日 。開演3時間前に急遽、司会を担うこととなった松原の件。
実は、当日に至るまでの経緯は一切知らず、直前の30分ほど三ヶ峯と刈谷に幾つか確認をしただけで
まるで出来の良い台本があったような、堂々たる語り。これには空見も大いに驚かされた次第です。
その松原の言でございますが「運の良さは行動の回数によって定義される」とのことでございました。
いままでにお嬢様、旦那様に差し上げたご報告の数と、ときより寄せられましたご意見、ご感想の数、
事あるごとに #お抱えの楽団 と行動を共にして、お嬢様、旦那様の目線でしたコミュニケーションの数。
一つ一つは目立たない地味な事実の確認でございますが、それをたぐり寄せ、結びつけた結果かと。
「驚きをもって喜ばれること」よく見れば、目的は喜ばれることであって、驚きはそれに添えるもの。
私たち執事の館・準備委員会は、さらに行動を重ねて、ひたすら事実の報告を欠かさずおこないます。
わたくし空見も、広報係に任じられたばかり。至らないところもございますが、お見守りをください。
良いことも、悪いことも、漏らさずに。一つ一つの事実を、欠かさずにご報告する所存にございます。
少しだけ親しみを覚えはじめた銀色のまな板に向かいながら
執事の館・準備委員会
広報係/空見(そらみ)
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このお手紙を初めてお受け取りになる主には、事前の説明もなく、唐突なものに映ったかと思います。
何卒、お許しください…この機会に、私たち執事の館・準備委員会のあゆみをご覧頂けますと幸いです。
私たちが活動をはじめて4年が経過し、バックナンバーは350を超えました。お時間のあるときに…。
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【 #執事の館 】 #初めてのお嬢様と旦那様にお伝えしたい事柄 【第6版】
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