第161号:モモ。
このお便りは、29426 名のお嬢様、旦那様に宛ててお送りいたしました。
お嬢様、旦那様、長らくのご無沙汰でございました。準備委員会の松原でございます。
前に報告を差し上げた6月14日から、20日も空いてしまいましたことを、謹んでお詫び申し上げます。
かつてはほぼ毎日のように発信しておりました Twitter や、水面下で交わすお問い合わせへの返信に、
業務の負荷や、体調を気遣ってくださるお声、そして異変に気付かれながらも、そっと状況を見守って
くださった主の皆様には、この場をお借りしてお礼申し上げます次第です。ありがとうございました。
きょう、このお手紙のなかで、どこまで憚らずにお話をして差し上げればよいのか、思案しながらも、
まずは私たち執事の館・準備委員会にとって、掛け替えのないお嬢様、旦那様に状況をご説明せねばならないと考え、久方ぶりに筆を取った次第でございます。
様々な事情が重なりますゆえ、歯切れの悪い点ももあるかと存じますが、何卒お許しをくださいませ。
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▼ 執事の館・準備委員会は、この7月に掛けて大規模な人事異動、運用フローの見直しを行いました。
▼ いっぽう #名古屋の仮住まい は、錦と鳴海による #7月限りの品 が大変好評とのことでございます。
▼ 執事の館・準備委員会は、新たな #申し付けの品 を準備中。近日中に詳細をお伝え申し上げます。
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▼ 執事の館・準備委員会は、この7月に掛けて大規模な人事異動、運用フローの見直しを行いました。
先日、Twitterで手短に事情をお伝えいたしましたが、私たち執事の館・準備委員会はこの7月に掛け、
かつてない規模の組織変更を余儀なくされました。もちろんこの中に、わたくし松原も含まれており、
今後の振る舞いについて度重なる議論がなされていることも、謹んでお伝え申し上げます。
これまでに決定した事柄を列記致しますと、まずは会計や経理を担っていた烏森(かすもり)ならびに
加木屋(かぎや)の両名が、執事の館・準備委員会を離れることとなりました。まず烏森においては、
執事の館・準備委員会の創立当初に、財務面の知恵袋として尽力し、 #名古屋の仮住まい の実現に、
大きく貢献をしておりましたが、昨年5月の開館以降はやや引いたポジションにございまして、
今回の組織変更にて執事の館・準備委員会からの離脱を申し出された次第でございます。
そして加木屋が担っていた経理業務は、以前にもお伝えしましたように介添係の神宮(じんぐう)へと
引き継ぎがおこなわれ、今後は #名古屋の仮住まい のお給金や、#申し付けの品 の入出金管理において
1名で十分に対応できるものとの判断に至りました。
加えて、度々 #申し付けの品 の発送フローにおいてご迷惑をお掛けしておりました件につきましては、
配送係の高見に加えて、もう一人のスタッフを置くことが決定。先月の中旬から現在にかけての間、
少しずつではございますけれども、お申し付け履歴の管理や、生産者との連絡などにおいて、
業務負荷の軽減、品質を損なわないレベルの合理化を進める最中にございます。
これと並行するかたちで手帳係の長筬(ながおさ)は、 #申し付けの品 の管理機能をさらに強化。
誰が操作しても見落としや誤りがないよう、ユーザビリティに優れたシステムに進化させるとともに、
作業者の負担を下げるための機能追加を進めていることを、合わせてご報告させていただきます。
また、わたくし松原が担っておりました #名古屋の仮住まい の広報業務のうち、日々の動向については
給仕係( https://twitter.com/bh_srv )、介添係( https://twitter.com/bh_spt )、そして
家事係( https://twitter.com/bh_ktn )が、今日までよりも積極的に発信することとなりました。
同時に #名古屋の仮住まい の収支計画についても、より厳格な基準を設けて運用に取り組む所存です。
いまお話できる範囲でも、委員会の経理ならびに配送、広報の3部門に激しい動きが生じたことが、
お嬢様、旦那様にも伝われば幸いに存じます…。これを受けて執事の館・準備委員会は、
必要最低限の経理、問い合わせへの対応業務を除く、ほぼ全ての業務を緊急停止するに至りました。
6月に予定していたすべての #申し付けの品 のご案内もこれを受けて中止した次第でございます。
私たち執事の館・準備委員会が桃の木に例えるならば、たとえ数年手塩に掛けて育てた桃の木も、
実を結ぶたび手を入れなければ、よいモモが育たないということ。とうぜん痛みは伴いますけれども、
私たちはお嬢様、旦那様が、ほんの少しだけ背伸びをしたくらいで手の届く高さに、
大きく、美しく、食べ応えのある果実として"成り"たいと考える所存にございます。
改めて、ご心配をお掛けしたお嬢様、旦那様には謹んでお詫びを申し上げます。
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▼ いっぽう #名古屋の仮住まい は、錦と鳴海による #7月限りの品 が大変好評とのことでございます。
すでに7月も5日が過ぎ、 #名古屋の仮住まい には300にちかい主からのご帰宅を承っておりますが、
初夏のデザートワゴンに並べる7月限りのお料理とお菓子が、シェフの錦、パティシエの鳴海から
提案され、大いに好評を賜っていることが、 #給仕報告書 ならびに #試食報告書 から読み取れます。
なかでも、かつてスランプに窮した鳴海の目覚ましい変化と成長は素晴らしく、お嬢様、旦那様に喜ばれるには、
どのような味に、どのような見栄えにすれば良いかを、きわめて熱心に考えるようになったとのこと。
#名古屋の仮住まい で毎週火曜日に催される試食会に先立って、自ら試行錯誤を繰り返すようになり、
側でその仕事ぶりを見ている家事係も「何が彼をそこまで変えたのか」と専らの話題でございます。
好評の #7月限りの品 は、給仕係の徳川による報告を下記にまとめましたので、ご参照ください。
#7月限りの品 をご用意して、お嬢様、旦那様のお帰りをお待ちしております。(Togetterさん)
http://togetter.com/li/843240
「白桃のティラミス」は、生地のなかに3種類の桃の要素が含まれます。桃のシロップ、桃のパウダー、
そして桃の果肉を忍ばせまして、大胆にも表面には酸味の効いたイチゴのドライフルーツを散らします。
酸味と甘みのバランスが素晴らしく、給仕報告書には3回お代わりをなさった主もいらっしゃると…。
さらに、パティシエ鳴海からの新しい提案として「冷やしクッキー」をご紹介させていただきます。
冷たい状態でもしっとり感を再現するため、マスカルポーネ/リコッタチーズを巧妙に練り込みまして、
お嬢様、旦那様のテーブルにお持ちする直前まで、冷蔵庫でキンキンに冷やして保管しております。
また家事係の東山(ひがしやま)の助言で「ハイビスカス」ならびに「ミント」の葉を用いたものは、
準備委員会でも傑作と称されるほどの芳醇さにあふれ、一口だけでもお試しいただきとうございます。
「奥三河鶏の赤ワイン煮込み」はシェフ錦の真骨頂としても過言ではありません。甘口のワインと、
辛口のワインを調合しつつ、ゆっくりと地鶏に火を入れていく技巧は、氏の経験がなせる技でしょう。
このお品は、ぜひともソースをご堪能くださいませ。ワインから得られるブドウそのものの甘さが、
鼻にふうっと抜けていく体感は、永遠に忘れられない一夏の思い出となるに違いありません。
シェフ錦からは「白桃風味のホワイトチョコムース」の提案もございます。ホワイト・チョコレートと
白桃の微妙なバランスに調和を図りながら、なんと仕上げに塩と黒胡椒を散りばめることによって、
なぜかモモの風味がより一層強く感じられることでしょう。試食に臨んだ家事係の常磐(ときわ)も
狐につままれた気分であったと報告を寄せておりました。
最後に「おばけエクレア」はパティシエ鳴海の遊び心。大きなオーブンを活用してみたくなったのか、
小さく拵えるのが面倒だったのか、その背景は定かにございませんけれども、長さにして60cmほどの
巨大なエクレアを「白の部屋」に運び、お嬢様、旦那様がお召しになりたいぶんをカットして給仕いたします。
ただし、このお品の提供は平日を中心に、鳴海の気紛れであることをあらかじめご了承ください。
執事の館・準備委員会、ならびに #名古屋の仮住まい の使用人一同、ぜひとも #7月限りの品 を
お召し上がりいただき、その感想を伺いとうございます。ご帰宅の予告を楽しみにお待ちしております。
https://www.butlers-house.net/reservation
(ご予告には「主の手帳」が必要です。「仮の手帳」「薄い手帳」ではお申し付けいただけませんので、
手帳の差し替えをご検討いただけますと幸いに存じます。)
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▼ 執事の館・準備委員会は、新たな #申し付けの品 を準備中。近日中に詳細をお伝え申し上げます。
しばらく目に見える動きのなかった #申し付けの品 でございますが、水面下では製菓係の黒川や、
調達係の守山(ピンク好き)が、お嬢様、旦那様のため試行錯誤を重ねて参りました。
まず #愛知県小牧市のカヌレ につきましては、現在フランス国内で量産されている金属型の完成待ち。
現地の担当者から出荷の連絡が入り次第、量産のスケジュールを組みたいと考えております。
また #愛知県小牧市のプリン は、まず「やわらかいプリン」のレシピを完成させるべく準備中。
#愛知県名古屋市のハーブティ の試飲版で活躍した実験用小瓶、6本に詰めてお届けしとうございます。
さらに #名古屋の仮住まい にご帰宅の折、ご試食をいただきました主の皆様からも大反響であった
#愛知県稲沢市のポン菓子 も、黒箱ならびに封入の仕様を検討中。120gずつ2包を収める方針です。
#愛知県碧南市の白たまり を用いた「マカロニのポン菓子」の仕上がりは近日中に確かめて参ります。
また #愛知県尾張旭市の紅茶 は、いま #名古屋の仮住まい で給仕に用いておりますコレクションを
10gずつの小包装(バウムクーヘンに添える銀色の袋)で、お届けするパッケージを検討しております。
ここには家事係の東山が見出した #愛知県岡崎市のほうじ茶 なども含まれる見込みとのこと。
そして調達係の守山(ピンク好き)が、日本国内のあらゆる花火メーカーを回って厳選をいたしました
#愛知県岡崎市の花火 のために、黒箱係の千音寺(せんのんじ)が外装の試作に取り組んでおります。
なお #愛知県岡崎市の花火 は、同じ内容で2種類のお給金を設定させていただきとうございます。
一つは花火のセットを、別宅にお届けするためのパッケージ。もう一つは花火のセットに加えて、
8月(もしくは9月)に執事の館・準備委員会が催す「夕涼みの日」にお招きするパッケージ。
初めての屋外給仕ゆえ、きょうも様々な側面から考えられる課題を解決し、企画を進めております。
具体的なことが明らかになり次第、ご案内をさせていただく所存にございます。
結果、6月度の #申し付けの品 はごく僅かではございますがプリンクーヘン、フィナンシェ、
そしてポークジャーキーの3品目をご用意させていただきました。あす6日発送分のジャーキーに、
若干の残がございますので、ご入用でしたらお申し付けをくださいませ。よろしくお願い申し上げます。
申し付けの一覧
https://www.butlers-house.net/cart
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さて「モモ」といえば、「はてしない物語(映画「ネバーエンディング・ストーリー」)」で知られる
ドイツの作家ミヒャエル・エンデの著作でございます。たしかお嬢様、旦那様の書棚にも、
彼の作品を置いていらっしゃいませんでしたでしょうか?私の思い違いでしたら、申し訳ございません。
1973年に発表された「モモ」は、南欧の街で「時間貯蓄銀行」を名乗る灰色の男たちによって、
人々から時間が盗まれる場面から始まります。しかしヒトの心に添い、自己を取り戻させるという
不思議な能力を持つ少女「モモ」が、様々な出来事から"奪われた時間を取り戻す"という筋書きです。
わたくし松原も、小学校の頃に父親から買い与えられた「モモ」を、夢中になって読破いたしました。
今となってはそのストーリーも朧げになり、ほとんど記憶に残っておりませんでしたが、つい最近、
この物語の扱われる「時間」という概念が、実は「お金」…つまり現代の金融やビジネスを風刺し、
読者に警鐘を鳴らす狙いが著者エンデにあった…ということを知り、戦慄いたしました。
つまりかつての私は、利息が利息を生み、負債が負債を生む現代の経済モデルに対する懸念を、
「モモ」という少女が振舞う様子を通じて、知らずのうちに読み込んでしまっていたということです。
歳を重ねてから知る真実に、もう一度最初から読み直したくなったことは、申し上げるまでもなく…。
人生それなりに生きておりますと、ふと我に返り、遠回りをしていたことに気づく機会がございます。
そういう時は初心に返り、驚きをもってお嬢様、旦那様にお喜びいただけるため、何ができるかを、
一生懸命考える立場にありたいと心から願うばかりです。
たとえば私たち執事の館・準備委員会は「しあわせ貯蓄銀行」でありますように。
そういえば7月は中旬までの間、玄関のオリーブに願い事を記した短冊を吊るしております。
お嬢様、旦那様の願いごとが、叶いますように精一杯のお伝えに臨む所存です。
https://www.butlers-house.net/reservation
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余談ですがミヒャエル・エンデの「モモ」、延べ300ページ、厚さ2.5cmの超大作にございます。
くれぐれも、今の時間から読み進められませんように、わたくし松原からのお願い申し上げます…。
あともうひとつ。あす、そちらの空がきれいに晴れますように。
松原
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このお手紙を初めてお受け取りになる主には、事前の説明もなく、
唐突なものに映ったかと思いますが、お許しくださいませ。
この機会に、私たち執事の館・準備委員会のあゆみをご覧頂けますと幸いです。
(お読みになる際は、過去の号から遡って御覧になることをお勧めしております。)
https://www.butlers-house.net/blog/entries
また「主の手帳(マイページ)」は、手帳係が少しずつ入力欄を追加しており、
これがお嬢様、旦那様のお人柄を知る貴重な機会となっております。
苦手な食べ物、給仕の際のご希望をお書き添え頂けますと、使用人一同が拝見いたします。
https://www.butlers-house.net/member_login
何卒、よろしくお願い致します。
このお手紙は、執事の館・準備委員会の広報係、松原(まつばら)がお送りしました。
日々の小さな報告は、Twitter からもお届けしております。
https://twitter.com/butlers_house