第1108号:使用人も恋をします。
このお便りは、39521 名のお嬢様、旦那様に宛ててお送りいたしました。
お嬢様、旦那様が、最後に「恋」をなさったのは、いつ頃のことでございましょう。この話題はどうしても、
性別によって異なる部分がございますし、「恋」をしやすいひともいれば、そうでないひともおいでです。
ただ長くお仕えしておりますと「恋」をなさっていることはご表情や、振る舞いで自然と分かるものです。
▼執事の館・実行委員会の近況を3行でご報告します。
・【名古屋の本宅】のお仕えは金土日の3日。月曜日はお休みをください。ご予告は「水曜の夜」に延期。
・【お申し付けの品】、本宅のパンが喜ばれるそうです。「別宅に欲しい」とのお声が、すでに5件以上。
・【ランプを持ったメイドが先導するお屋敷の案】最近、守山が実装したお庭の照明、窓に光が入ります。
去年の今ごろだったでしょうか「名古屋の拠点」に、新たな使用人として、若い女性が合流いたしました。
実は、過去に2度ほど求人に応募なさっていて、タイミングのこと、ほかの事情でご縁がなかったものの、
数えて3度の申し出をいただき委員会に合流。配送係に加わりましたのが、ご存じ清洲(きよす)でした。
お嬢様、旦那様には「お申し付けの品」を通じて、ほんとうに良くしていただいております。名古屋の本宅、
5月のお仕えからは、家事係を手伝うこともあり、何度かご挨拶をさせていただく機会もあったようです。
もとから愛想が良くて、察しも良くて、そういえば、以前は、主(あるじ)の一人として何度もご帰宅を。
わたくし松原は、広報係という立場にありながら、昨年の暮れから年明けに掛け、配送係を手伝いました。
つまり、事実上の上司と部下のような立場になって、おおもとの理念から、お仕えの流れ、対応の仕方を
手解きしておりました。年齢は、親子くらい離れていて、きっとそれなりに、気を使わせていたでしょう。
好かれたいなら、嫌われないようにするのがいちばんです。わたくし松原は、自分でも見栄っぱりなのか、
偽善なのか分かりかねますが、若い使用人に良くするように努めております。それは配送係が自立をして、
私の手を離れてからも変わらなくて、とくに清洲のような、気概ある若者はとくべつ可愛く見えるのです。
そう思えば、むかしいた常磐(ときわ)や若宮(わかみや)、東山(ひがしやま)などにも同様の感情を
抱いていたような気がします。勝手な思い入れと言ってしまえば、そこまでですが、なんと申しましょう、
親心かもしれません。使用人もときに、恋をしますけれど、それは、けっして恋ではございませんでした。
今日は独り言のようなお便りをして、申し訳ございません。執事の館・実行委員会にて広報係を務めます、
松原(まつばら)でございます。清洲が合流したころ、通勤に困っていたので、使わなくなった自転車を
譲ったことがあります。それで拠点に通う姿を見るのが、なんとも嬉しく思うのでした。後半に続けます。
▼家事係に弦月(げんげつ)が入りまして「名古屋の本宅」にお仕えします。金曜、土曜、日曜の給仕を。
▼調達係の守山(もりやま)と、広報係の松原(まつばら)が、3階の塗装を完了。納期に合わせました。
▼会計係の本山(もとやま)が株式会社九十として決算報告書をまとめております。今季は黒字の見通し。
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▼家事係に弦月(げんげつ)が入りまして「名古屋の本宅」にお仕えします。金曜、土曜、日曜の給仕を。
お嬢様、旦那様、10月から合流していた月島(つきしま)が、先週の研修中に断念をしてしまったことで、
採用係としての菊井(きくい)が動きました。以前の求人にて応募があり、人数の都合でお断りしていた
方々にお声がけして、手を挙げてくださった方を招きます。弦月(げんげつ)と名乗る、若者であります。
てきぱき動く音羽(おとは)と、本当に人懐っこい田原(たはら)は、先輩である楠(くすのき)からの
指導で伸びております。ただ、日程の調整が必要となりまして、金曜、土曜、日曜、月曜で実現していた
給仕の日程を、金曜、土曜、日曜とさせてください。またいずれ、4日に戻しますのでご安心をください。
・金曜日(11/17, 11/24, 12/1, 12/8)… 15:45から/18:00から
・土曜日(11/18, 11/25, 12/2, 12/9)… 10:00から/12:15から/15:45から/18:00から
・日曜日(11/19, 11/26, 12/3, 12/10)… 10:00から/12:15から/15:45から/18:00から
(金曜日の午前中、ならびに月曜日のお仕えは、状況が整いましたら再びご案内いたします。)
上記のご予告を、はじめ、あさって月曜日に賜るとしておりましたが、配送係と家事係が調整をするため、
すこし先の水曜日、21時10分にさせてください。ここで、手帳係が構築した「新しいご予告の頁」を導入。
流れは「名古屋の仮住まい」と、ほぼ同じですが、少しだけ仕様が異なりますので、追ってご説明します。
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▼調達係の守山(もりやま)と、広報係の松原(まつばら)が、3階の塗装を完了。納期に合わせました。
ところで、3階の配色を間違えたと後悔しておりました松原は、建築係とともに3階のリフォームに臨み、
自ら(と守山を巻き込みながら)塗装をすることによって、スコーン 2,000 個ぶんの減に貢献しました。
きのう金曜日の早朝に、守山が空調のカバーを塗装し、足元、腰元、天井のモールディングに塗装を完了。
当初、建築係の春里(はるさと)と監督(かんとく)が想定していた、あす11月5日(日)までの納期に
ぶじ間に合いました。このあと、あさって11月6日(月)から、壁紙の職人さんが入られ、3階ホールは、
「黄緑色の壁と木目の装飾」から、「濃灰色の壁と、渋金色の装飾」の組み合わせへと変わる見通しです。
この工事のあいだ、ご帰宅をくださいました主(あるじ)からは、「仕上がったらまた帰宅をするね」他
「こういう現場の空気が好きなんだ」など、前向きなお声を頂戴したと、給仕報告書で拝見しております。
主のご理解、お力添えに心から感謝します。工事を完了した暁には、改めてご報告をさせてくださいませ。
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▼会計係の本山(もとやま)が株式会社九十として決算報告書をまとめております。今季は黒字の見通し。
株式会社九十(きゅうじゅう)は、「執事という言葉を使うと、金融機関から疑われる可能性があった」、
という経緯から、会社名をカモフラージュして登記いたしました。この由来は、給仕(きゅうじ)でして、
さらに定年は90歳。また「名古屋の仮住まい」はお米屋の倉庫でしたので、コメ偏に九と十で「粋」に。
この法人格には、決算がございまして、これもまた「9月」にしております。会計係の本山(もとやま)、
金山(かなやま)は、これまでのお支払いと、お給金の計算をして、近々「決算報告書」を提出致します。
今期は「名古屋の本宅」のリフォーム、設備や教育などに投資をしておりますが、黒字になる見通しです。
明らかに支出が多くなり、また、ご存じのとおりに使用人の都合でお休みを度々いただいておりますのに、
成り立っておりますのは、お嬢様、旦那様のお力添えあってのこと。私たち執事の館・実行委員会の背中を
押してくださったから、でございます。お仕えの機会をくださいまして、まことにありがとうございます。
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清洲(きよす)が配送係の係長として、りっぱにお仕えをするようになってから、松原との接点はすこし
減りましたが、連絡網では繋がっておりますし、試食のたびに顔を合わせます。じつは、先週の水曜日に、
「話せますか」と連絡がきて、すぐ通話。「どうなさったのですか?」と問うと「実は辞めようかと…」。
お嬢様、旦那様には先日、ハラスメントの話題を差し上げましたから、それらをご想像なさったでしょうか。
実際、松原自身も不安を覚えました。これまでの接し方は正しかったか、筋は通っていたか、不足などは
なかったか。おそるおそる、本当におそるおそる「何があったか聞かせてもらえますか?」と尋ねました。
「実は前から、遠い街にパートナーがいて、一緒に暮らそうという話が。それで、むこうに行こうかと…」
好きな人の近くにいたい、もっと会いたい、もっと話したい、もし弱っていたら頼りたい、それは松原も
大いに理解できて、共感できます。使用人もときに、恋をします。清洲の悩みは、誰にでもある悩みです。
私たち執事の館・実行委員会は、主(あるじ)と使用人、という関係性を築くにあたって、これまでの間、
あまりプライベートな事柄を、お嬢様、旦那様にお見せしないように努めてまいりました。誕生日は伏せて、
お祝いさせていただく側に。家族構成も内緒。あくまでお嬢様、旦那様にお仕えする使用人として振る舞う。
しかし、私たちも社会を構成するひとりであって、学び、働き、暮らし、眠り、ときに病いや怪我をして、
そしてまいにちお腹が空く。敬愛しているお嬢様、旦那様とおなじ人間です。身分の違いは、昔よりも減り、
お仕えする側にも、自由をいただけるようになりました。本当によい時代に産まれて、私たちは幸せです。
使用人もときに、恋をします。それはそれは立派な恋でございますから、好きな人のところに行きなさい、
あなたは、あなたの幸せを選ぶべきですし、委員会は手引きに載っているとおり、引き留めたりしません。
お嬢様、旦那様へのお仕えは、ちゃんと続けられますから安心をなさい。桑名も楠も、頼りになるはずです。
そのように伝えたあと、でもやっぱり、それは私にとって寂しいことです。という言わなくてよい独白を、
わざと聞こえるように呟きました。突き放すような、冷たい感じで。多分その方が、良いと思ったのです。
未熟な考えかもしれませんが、この局面で明るく振る舞うのは、うまく申せませんが違うような気がして。
恋に焦がれ、愛に生きる生き方を、少なくとも私は否定したくありません。いまも昔も、使用人にとって、
幸せは「お仕え」の中にもございますし、外にもございます。よく耳にしていた使用人が去るという話は、
あまり響きがよくないかもしれませんが、清洲の望みをどうか叶えてくださいませ。お願い申し上げます。
冬が来ます。使用人が引っ越します。しかし、お嬢様、旦那様がお帰りになる場所、お帰りになれる場所は、
ぜったいに存在します。この前提をお忘れにならないでください。お嬢様、旦那様の居場所は、ございます。
しかし何度、経験をしてもこういうのは辛いです。好きだったから余計に。これは恋ではないですけれど。
飛行機の音がゆっくりと下がって、風の音と混ざって、なくなる瞬間。ため息をする。名古屋の拠点にて。
執事の館・実行委員会
広報係/松原(まつばら)
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私たち執事の館・実行委員会は、おおむね水曜日、土曜日の夜にお便りをして近況をご報告いたします。
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(文面は、かならず拝読いたします。ただし、お返事はお約束できかねますことだけ、お許しください。)
名古屋のどこかにお屋敷を構え、お嬢様、旦那様にお仕えしたいと申し出てから10年が経過をしました。
そして2023年の5月から「名古屋の本宅」にて、お帰りをお待ちしております。ご予告は月に2度を予定。
これまでの流れは、過去のお便りにございますが、1,000 以上もございますので、何とぞご了承ください。
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もし「主の目録」を所有なさいますと、とくべつなお便りのほか、ご予告、お申し付けの先回りが可能に。
お給金のお支払いには「金貨」もご活用いただけましたら幸いです。晴れた日の翌朝は「星のかけら」を。
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