第1102号:猫を飼わせていただけませんか。
このお便りは、39565 名のお嬢様、旦那様に宛ててお送りいたしました。
お嬢様、旦那様、「名古屋の本宅」で猫を飼わせていただけませんか。ちゃんと世話をします。ご迷惑など、
いっさい無いようにします。それに掛かる全ての費用は、使用人のポケットマネーで賄いますから、何卒。
(混乱を招く表現ですが、執事の館・実行委員会は館内で動物の飼育をしない方針に変わりありません。)
(また、きょうのお便りは、動物の命に言及します。ご事情によっては、響きすぎる恐れがございます。)
▼執事の館・実行委員会の近況を3行でご報告します。
・【名古屋の本宅】を再開します。いま手帳係と、家事係が…ぎりぎりになる恐れ。尽力をして参ります。
・【名古屋の本宅】のお給金は15,000円のまま。ただ、給仕の流れ、お召し上がりいただく品に、変更を。
・【お申し付けの品】は「2023年10月25日(水)」を予定します。今年のアドベントボックスに新たな案。
お嬢様、旦那様のために、お屋敷をご用意する。私たち執事の館・実行委員会の目標、目的とも申せますし、
存在意義とも表せます。「名古屋の本宅」は、名古屋市内の住宅街に、静かに存在する3階建の建物です。
この地域は、昔から野良猫さんもいらっしゃいまして、3日に1度ほどの割合で、姿を見かけております。
造園係としてお仕えしていた守山も、松原も、猫はどちらかというと好きなほう。しかし野良猫さんには、
決して「ちゅ〜る」や「ドライささみ」など差し入れはせず、また「名前を付けない」ように努めました。
お嬢様、旦那様のお庭にいらっしゃっても、適度な距離感に努めております。館内にはご案内いたしません。
9月のはじめ、小さなお猫さんを見るようになりました。母猫と思われる猫の周りに、松原が6年まえに
カヌレ氏とミエル氏をお迎えした頃の大きさで、3〜5匹いらっしゃって、うち2匹を松原は撮りました。
しかし、それをお嬢様、旦那様にお見せするのは憚られ、スマートフォンの中に収めたままにしていました。
おととい木曜日の夕方、菊井(きくい)と笹島(ささしま)が、お屋敷にお邪魔したとき、その正面にて、
蹲る(うずくまる)お猫さんを見つけたそうです。綺麗な毛艶。可愛いお手手。しかし、たぶんだめです。
館内から、発泡スチロールの箱を出して、手袋代わりにビニール袋…まだ身体が温かくて、躊躇いました。
菊井は背に触れたまま検索して、カヌレ氏とミエル氏の病院に電話しました。いま、動かなくなった猫が、
目の前にいて、まだ温かい。でもきっとダメだと思う。でも諦めきれなくて、本当に申し訳ないけれども
言い切ってほしい。こういう状況で連れてこられる子、だいたいダメですよね…?「仰るとおりです…。」
そのままでいたら、きっと他のにやられてしまいます。衛生の観点からも、良くはないはずです。何より、
距離を置いて接していたのに、その場を去ることが、彼らにはどうしてもできなくて、白い箱をゆっくり
「白の部屋」に持ち込みました。お嬢様、旦那様にお叱りをいただく覚悟を固めて、委員会に報告しました。
松原も、この1年ほど、お屋敷に通うなかで、近隣の方々、それぞれの「野良猫さんに対する考え方」が
異なることを知っておりました。そして主(あるじ)によっても異なることも分かっております。どうか、
柔らかい表現で、お言葉をください。好きでも嫌いでも良いから、誰も傷つけないように。報告をします。
▼撮影係が、あす「名古屋の本宅」にてお写真を撮らせていただきます。お好みの構図などあれば、ぜひ。
▼配送係の清洲(きよす)が「職人の動向」をご報告。お嬢様、旦那様が優先だもんで、と述べます職人は?
▼広報係の松原(まつばら)は、関東、北関東のお屋敷とお店を視察。お仕えの心を学び、報告しました。
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▼撮影係が、あす「名古屋の本宅」にてお写真を撮らせていただきます。お好みの構図などあれば、ぜひ。
前のお便りでも触れましたように、執事の館・実行委員会は新たな撮影係が合流をして、10月15日の
時点でご覧になれる「名古屋の本宅」を記録します。1階の玄関〜白の部屋から階段を上がって、2階の
赤の広間、そして吹き抜けのシャンデリア。ドレッサー、クローゼット、シャワールームにお手洗いなど。
さらに3階は、まだ張り替えをしていないホールで、グリーン系のうちに撮影いたします。寝室としての
緑の部屋のほか、住み込み、泊まり込みの使用人に使わせていただいている2つのお部屋も対象とします。
これらを、まず「データの状態」でお嬢様、旦那様にお納めしますのと、「製本した状態」をご用意します。
「名古屋の本宅」は、お嬢様、旦那様のために変化を続けます。成長を続けます。定点は難しくても、つど
撮影の機会をもって、記録しましょう。そしてお役に立てますなら「本宅のアルバム」のご用意をします。
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▼配送係の清洲(きよす)が「職人の動向」をご報告。お嬢様、旦那様が優先だもんで、と述べます職人は?
・製菓係/若草…「バナナと黒胡椒のタルト」は黒胡椒のスパイス感をもっと感じられるように手直しを。
・製菓係/若草…新たに「黒いちじく」を使ったタルトを試作。普通のいちじくとの違いは明確で、濃厚。
・家事係/池下…「タンドリーチキンキッシュ」を再び試作。塩味を調節、さらに美味しくいたしました。
・製菓係/瀬木…「アドベントボックス」にもお品がご用意できないか調整を。自身の工房も同時進行中。
・燻製係/関ヶ原…「名古屋の本宅」にご用意いたしますソーセージをご用意。チーズ入りは笹島も絶賛。
・カレー係/山吹…「和風キーマ豆カレー」はアレンジをお楽しみいただきたいお品。卵やチキンは如何?
・和菓子係/五月…保管している黒箱の数を確認、足りない数をお渡し。無事にお届けできますよう準備。
・和菓子係/五月…ある百貨店から声がかかりました。とはいえ、お嬢様、旦那様が優先だもんで、と報告。
・家事係/菅原…「かぼちゃのパイ」は驚くほど滑らかなクリームをたっぷり。洋酒の豊かな風味が格別。
・製菓係/菅原…今年も「アドベントクッキー」のご用意をしたいと。クリスマスのみのお味で整えます。
・家事係/東桜…今月のお申し付けの品は何が喜んでいただけるかと、過去のレシピを見返しております。
・キャラメル係/明徳…とあるお品に添えるキャラメルを依頼。すぐに取り掛かります、と快い返事です。
・製菓係/金城…月末に向けて「ハロウィンセット」のご用意。トリックオアトリートのお仕えをします。
・製菓係/金城…「本宅のバースデーケーキ」を試作。クリームで美しくデコレーションをいたしました。
・調香係/杁中…今年新しく染めをいたしました「藍染のストール」が仕上がったと報告が。ぜひご覧に。
・配送係/清洲…「トリックオアトリート」のお菓子が続々と配送室に到着。黒い袋に、使用人の名前を。
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▼広報係の松原(まつばら)は、関東、北関東のお屋敷とお店を視察。お仕えの心を学び、報告しました。
水曜日のお便りを執筆しながら、わたくし松原は栃木県の宇都宮市にお邪魔しまして、昨年の秋ごろから
動きのあったお屋敷を尋ねてまいりました。また、その翌日は東京都内の喫茶店にて、いわゆるお仕えと
おもてなしを受け、勉強しております。好まれるもの、喜ばれるもの、この変化を見出している次第です。
お嬢様、旦那様、もし、いまお住まいのところに、良いところをご存知でしたら、ぜひともご紹介ください。
それは「お屋敷」に限らず、一般的な飲食店やお宿でも結構です。驚きをもって喜ばれるところなら是非。
折をみて、わたくし松原がお邪魔いたします。ご自身がお勤めのところでしたら、手土産にスコーンを…。
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小さな白い箱は、ひと晩「白の部屋」に置かせていただきました。具体的な表現は控えますが、たとえば
「飲食店営業許可」に差し支えるような方法でなく、そして、その野良猫さんの尊厳を保つ方法、でした。
木曜日は、敢えてさらっと、ご報告しましたが、やはりこの件はお嬢様、旦那様にご相談せねばなりません。
私たち執事の館・実行委員会は、「名古屋の本宅」において動物の飼育はいたしません。それは館内でも
お庭でも同様で、お嬢様、旦那様のお仕えに専念することが、使用人の務めであるからです。しかし現実に、
土地を持ち、お屋敷を構えますと、野生の動物との接点がございます。「家」ならあり得ることなのです。
これまで、わたくし松原は、この手の議論を避けて参りましたが、お屋敷をお預かりして運用するなかで、
「もし敷地や接道で動物さんが動けなくなっていたら、私たち使用人はどうするか」を固めたく存じます。
名古屋市の役所は親切、しかし、そこでは可燃ゴミの扱いです…それだけは、どうしても避けたいのです。
翌日、わたくし松原は菊井と合流をして、名古屋市立八事霊園・斎場(やごとれいえん・さいじょう)で
小さな野良猫さんを見送りました。ここも空に送るという意味では同じですが、やはり気持ちが違います。
棺に移すとき、お顔を拝見。松原が撮っていた2匹とは違うと判明して、それでも、止まりませんでした。
外に出たら、キンモクセイの匂いがして、あの猫に合いそうな名前をつい考えそうになってしまいました。
お願いがございます、お嬢様、旦那様。「名古屋の本宅」で猫を飼わせていただけませんか。お察しの通り、
もう動けなくなってしまった野良猫さんを、一晩だけ「白の部屋」に置いてやってほしいのです、そして
つぎの日に私たちが、責任をもって見送りをして参ります。費用のスコーン4個分は、自分らで払います。
お水もあげません。ご飯もあげません。名前もあげません。お約束します。ただ、彼ら彼女らに1日でも
「お家があった」という事実をあげたいのです。そしてお許しをいただけるなら「素敵な飼い主がいた」
という事実をあげたいのです。黙認も有り難いことです。自己満足ですが、どうかお許しをくださいませ。
昔もお話しましたが、街中でお猫さんを見ると、つい執務室のカヌレ氏、ミエル氏と、どちらが幸福かと、
自問自答いたします。野良猫さんにとっての幸せを定義できるほど、私は偉くありませんし、それよりも、
自らが幸せなのか、という問いすら長年、答えを見出せてないのに、なにをしているのだ、とも思います。
御涙頂戴で、乞うようなことはしたくありません。良い人ぶって、演じる気もございません。この議論は、
奥行きがあって難しいことを承知ですし、そもそも「名古屋の本宅」はお嬢様、旦那様のものでございます。
しかし、それを承知でお願いします。お嬢様、旦那様、「名古屋の本宅」で猫を飼わせていただけませんか。
たとえ救えたとしても。迎えたとしても。全ては抱えきれない、と分かっていても。名古屋の執務室にて。
執事の館・実行委員会
広報係/松原(まつばら)
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私たち執事の館・実行委員会は、おおむね水曜日、土曜日の夜にお便りをして近況をご報告いたします。
こちらをご覧になってのご感想や、ご意見などは Twitter と、このメールへの返信にて承っております。
(文面は、かならず拝読いたします。ただし、お返事はお約束できかねますことだけ、お許しください。)
名古屋のどこかにお屋敷を構え、お嬢様、旦那様にお仕えしたいと申し出てから10年が経過をしました。
そして2023年の5月から「名古屋の本宅」にて、お帰りをお待ちしております。ご予告は月に2度を予定。
これまでの流れは、過去のお便りにございますが、1,000 以上もございますので、何とぞご了承ください。
https://www.butlers-house.net/blog/entries
もし「主の目録」を所有なさいますと、とくべつなお便りのほか、ご予告、お申し付けの先回りが可能に。
お給金のお支払いには「金貨」もご活用いただけましたら幸いです。晴れた日の翌朝は「星のかけら」を。
https://www.butlers-house.net/product?product_id=3887