第72号:壁を立てて参ります。
このお便りは、25368 名のお嬢様、旦那様に宛ててお送りいたしました。
お嬢様、旦那様、遅れて申し訳ありません!
わたくし橘の担当する分野における、この週末までの進捗をご報告いたします。
- -
去る3月10日(月)、給仕係の面々と仮住まいの設えについて、その間取りや使い方、
演出に込めた意味などを共有いたしました。部分的には給仕係の意見を取り入れ、
計画を修正しながら進行中の現場へと反映させております。
平行して広報係の松原や、意匠係の高岳(たかおか)とも協議を重ね、
仕上げや装飾についての最終的な判断を、順次下しました。
ただ、バラバラと立て続けに決定を重ねておりますので、
全体像が共有できているかどうか、やや確認しづらくなってまいりました。
いちど、内装の様子をまとめて一覧できるようにする必要がございますね。
- -
「名古屋の仮住まい」の工事の進捗についてご報告いたします。
先週までに、2回目の床下地の工事が行われました。
また、壁の軽量鉄骨下地の建て込みは、前半部分が終了しております。
これと同時に、各種設備の配管工事を進め、
床下や天井に隠れてしまう部分についてはほぼ工事を完了。
今後は、開口部に木枠を取付け、天井と壁の軽量鉄骨下地に石膏ボードを張っていきます。
いよいよ、部屋の大きさが具体的に見えてくる頃に差し掛かります。
来週中に間に合えば、巾木や回り縁といった装飾部材を取付けます。
進捗についてはまた随時Twitterにてご報告させていただきます。
- -
その他確認を進めた内容としては、
空調配置の微調整、厨房機器の発注前確認、音響の調整方針、室内電源の位置、建具金物の選定、窓の演出方法、前庭の配置、植栽の規模、玄関前の意匠、外壁面の仕上げと装飾、金属製装飾部材の形状、外部照明の方針、防犯の領域設定、その他市況により納品できなくなったものの代替品の選定や工期の調整、建物現況により計画通りに施工できないことが判明した部分の修正指示、などがございました。
このあたりは細かくなりますので、詳しいご報告は割愛させていただきます。
- -
あの、本日も私の文庫の中からいくつか
お嬢様、旦那様に読んでいただきたいものをご紹介…宜しいでしょうか?
その18・19
『鴨川ホルモー』文庫本 299ページ 万城目 学(著)[角川グループパブリッシング]
『ホルモー六景』文庫本 315ページ 万城目 学(著)[角川グループパブリッシング]
読書初心者向けです。映画がとても印象的でしたが、小説で読む方が当然奥行が深く、
映画とは違った面白さがございます。ありふれた日常の描写の中にファンタジーが紛れ込んでいる
という構成は、考えてみるとアニメやコミックスとおなじですね。
そう考えると村上春樹もそうなのですが、万城目学の作品はずっと明確で分かりやすく、
気楽に読むことができます。『鴨川ホルモー』を先に読んだ上での
『ホルモー六景』の方が私は好きです。
その20
『光媒の花』文庫本 296ページ 道尾 秀介(著)[集英社]
山本周五郎賞受賞作。6つの完結した章が、連なってひとつの物語を構成する連作となっております。
全体に暗く悲しい雰囲気が漂っているのと、子どもへの虐待にからむ描写がございますので、
気楽に読書したい方にはお薦めしません。しかし緻密な構成と繊細な人物描写によって、
深く静かに心に訴えかけてくる物語になっています。
その21
『陰影礼賛』文庫本 213ページ 谷崎 潤一郎(著)[中央公論社]
明治、大正、昭和を生きた小説家谷崎潤一郎の随筆集です。
西洋化していく生活の中において日本的な美を陰影の中に見いだし、
そのことを建築や照明、紙、食器、食べ物、化粧、衣服などの実体に照らして論じています。
海外を周遊しているとときに、日本人ほど自国のことを知らない国民はいない、などといわれます。
この随筆集を読むことで、普段何気なく接している物たちのなかに、
これまで気づかなかった日本的な美の片鱗を見つけ出すことができるようになるかもしれません。
- -
とりいそぎ、今日はこれにて…。
アトリエにまだ、残務がございまして。
このメールは、執事の館・準備委員会よりお送り致しました。
準備委員会のあゆみは「過去のお便り(バックナンバー)」から、ご覧くださいませ。
http://www.butlers-house.net/blog/entries
メールアドレスやお名前の書き換え、退会手続きなどは、下記URLから承ります。
https://www.butlers-house.net/member_login
執事の館へのご要望、お問い合わせは info@butlers-house.net までお寄せ下さい。